地域の未来に繋げるウニ漁を。神恵内村漁師たちの冬ウニ作り

COLUMN
2018/12/28


11月下旬から1月上旬までの約2カ月間。岩宇には、この時期にだけ食べることのできるウニがあります。それが、私たち株式会社キットブルー(KIT BLUE)で販売している「冬うに」です。取り組みの中心になっているのは、端境期にも美味しいウニを届けたいという想いとともに、地域の未来を見つめて挑戦を続ける古宇郡漁協神恵内ウニ養殖部会と岩内郡漁協浅海部会・青年部の皆さん。今回は、神恵内村の漁師の皆さんの姿をお届けします。


夏の岩宇の風物詩

半袖になるには少し早い、6月の北海道。眩しいくらいに青くきらめく岩宇の海では、ウニ漁の季節が始まります。漁期は8月末までの3カ月間。磯舟が青のビロードに浮かぶ風景は、夏の岩宇の風物詩です。




ウニ漁が行われる“かもしれない日”の午前5時。「潮見役」と呼ばれる漁師さんが、幾つかのポイントから海の様子を見定めます。小型の磯舟は小回りがきく分、波の影響を受けて転覆する危険性も高いため、風と波が本当に穏やかな日でなければ出漁することができません。それぞれの場所からGOサインが出ると、待ち構えていたように磯舟が水面を駆けていきます。



海から戻って来ると水揚げされたウニをすぐさま作業場に運び、殻剥きのスタートです。一つ一つ手割りし、柔らかな身を形が崩れないよう優しく選り分け、不純物をピンセットで綺麗に取り除いていきます。大漁はもちろん嬉しいけれど、なかなかどうして大変な作業。この日ばかりは、漁師さんのご家族や出面(お手伝い)さんが総出で仕事に当たります。


端境期にも食べられる“冬うに”

そんな猫の手も借りたい書き入れ時。ウニ養殖部会では、「冬うに」づくりの準備も同時併行して行います。





冬うにとは「養殖ウニ」のことで、本来は端境期となる冬に販売します。その方法は、夏の終わりに水揚げしたウニを幅2m・高さ60cmのカゴに入れて海中へ戻し、週2回のペースで餌(昆布)を与えて育てるというもの。9月初旬から12月のカゴ揚げ(出荷)までの4カ月間、漁師さんたちが自ら餌やりを実施し、手塩に掛けたウニたちです。


神恵内村でこの取り組みが始まったのは2016年のこと。佐藤孝次部会長をはじめ村内の漁業者20人が集い、地域の海産物の価値向上に向けて活動してきました。




 
「1年を通してこの地域のウニを提供できるようにしたいというのが、養殖を始めたきっかけ。ウニは食べた物で身の味が変化するから、どうすれば夏のような甘みや旨みがたっぷり乗るかを試行錯誤してさ。ボイルした昆布を与えてみたり、いろいろ挑戦してきたんだよ」




 
近年は海の環境変化によって昆布が育ちにくくなったこともあり、養殖部会では餌用の昆布を育てる取り組みも実施。10月になると、小さな紐に活着した昆布の種苗(胞子が育ったもの)を太いロープに括り付け、漁港の中に沈めて翌年6月の収穫を待ちます。成長した昆布は水揚げし、袋に詰めて冷凍保存。それらも全て漁業者の仕事なのです。


 

冬ウニの新たな挑戦

養殖を手掛け3年目となる今年、佐藤さんたちは新たな挑戦を始めました。それは餌として冷凍昆布の他に野菜を与え、甘みをプラスさせるというもの。




 
「どうやら冷凍昆布だけでは、ウニに苦味が残ることが分かってきたのさ。そこで本州でも研究が進んでいる野菜ウニを参考に、岩見沢市の農家さんの協力の下、キャベツと白菜を与えてみることにしたんだ。餌の組み合わせや時期など色々なパターンで試してみたんだけど、キャベツと白菜を与えたウニは確かに甘味ものっていて、歩留まりも良くなったね」


そう佐藤さんが言うように、12月にカゴ揚げされたウニはしっかりと甘味を蓄えるとともに、北海道の畑に吹く爽やかな風のニュアンスも携えているように感じられます。




「ウニの養殖は手間と時間もかかるし、殻を開けてみるまで答えが分からない。昆布も昔から比べると“おがりにくく”(大きくなりにくく)なっているから、餌をどうやって確保するかの問題もある。だけど地域に後継者たちがいる以上、この技術が確立していくように、自分たちの世代が頑張らなきゃいけないって思っているのさ」





力強く豪快に、大きく獲って、大きく稼ぐ…。私たちが思い描く漁業の姿は、どこかそんなイメージで覆われているかもしれません。その一方で、幾つもの繊細な作業と数々のチャレンジ、地域のために長い時を掛けて育てる漁業の姿があることも知ってほしいのです。

 
今年度の冬ウニの販売は、2019年1月上旬までを予定しています。気が早いですが、来年度の冬ウニの仕上がりもお楽しみに。


【冬うに(塩水パック)販売場所】
● 北雄ラッキー倶知安店
● 北雄ラッキー岩内店
● キットブルー(神恵内本社) 


【冬うにが食べられるお店】
● 小熊商店(札幌)
● 北海道ビレッジ(札幌)
● 旬菜笑福 縁(札幌/すすきの)
● 杏ダイニング(倶知安)
https://www.kiniseko.com/ja/dining
● 炉ばた にせこ浪花亭(倶知安)
http://robata-naniwatei.com/ja/
● 清寿司支店(岩内)