食品を扱う者として、当たり前のことを当たり前にやる。地域ブランドの品質を支える影の立役者。

COLUMN
2018/10/29


日本の食品は安全・安心で、高品質--。その“当たり前”の奥には、原材料の品質はもとより、生産・加工・流通に携わる全ての人たちのプライドや、心づかいが潜んでいます。今回はその中から“加工”に焦点を当て、阿部水産の代表・阿部敦志さんにキットブルーの乾燥ナマコづくりに対するこだわりや想いを伺いました。



手間を惜しまずに、高品質な商品を届けたい

 「株式会社キットブルー(KIT BLUE)」の主力商品「北海道産 高級干海参」は、いわゆる乾燥ナマコです。生のナマコの内蔵(このわた)を一つ一つ取り除き、温度や時間を調整しながらボイルと冷蔵を繰り返して成形。さらに乾燥という工程を経る必要があり、完成までに約2週間もの時間を要します。
 輸出の9割をしめる塩蔵に比べ時間と手間は掛かりますが、私たちは品質や保存性の良さ、トレーサビリティの側面から乾燥ナマコとして提供しています。




 キットブルーの商品づくりを支えるパートナーの一人が、岩内町にある阿部水産の阿部敦志代表です。阿部さんは水産加工業に携わること40年の大ベテラン。ナマコの加工を手掛けるようになったのは、今から17年ほど前だと言います。




 「きっかけは、仕事で繋がりのあった中国人から、『北海道産のナマコが欲しい』と依頼されたことでした。当時のナマコの価格は現在の10分の1以下だったのもあって、地元でナマコ加工を行っている人は誰もいなかったんです。
 ですから加工方法は中国人の知り合いに聞いて、検証してみるほかありませんでした。だけど、その方法は三者三様で。今思えば現地の人たちですら、確立された技術を知らなかったのかもしれません(笑)」

トライ&エラーで掴んだ乾燥技術


 塩蔵製品を皮切りに、現在のような乾燥製品づくりにも着手した阿部さん。一口に乾燥と言っても、下準備や温度、時間など、魚種や商品スタイルによって作業工程は千差万別です。素材の水分を内側から飛ばす冷風乾燥機や外側から飛ばす温風乾燥機など、機械の選択によっても商品の質感(食感や見た目)が変わります。





 「ニシンやホッケなどの乾燥製品づくりで培った技術を持っていたので、ある程度の状態に仕上げることはそこまで難しいことではありませんでした。ですがナマコの場合、単に茹でて乾燥させるだけでは足(裏側にあるポツポツとした突起)が溶けたり、赤く変色する現象が起こります。
 最初のうちは原因が分からずに何度も失敗しました。そんな時ふと、塩蔵加工の工程と乾燥技術を組み合わせることを思いついて…」

 特にキットブルーのナマコ(マナマコ)は、イボが6列でピンと立っているのがポイント。地元の漁師さんのお話によれば、「このような特徴を持つナマコは岩宇の海でしか見たことがない」のだとか。
 香港や中国では大きさや重さ、色、形のほか、イボの立ち方などで品質が問われるため、いかに原材料のポテンシャルを損なわず製品化できるかがカギとなります。乾燥ナマコを高品質なクオリティで安定的にお届けできるのは、阿部さんの数々のトライ&エラーがあったからこそといえるのです。

ごまかしのない、確かな商品を




 「ナマコを茹でると縮むのが普通ですが、ある国ではボイル時間をごまかして歩留まりを良くしたり、(重量制で取り引きされるため)塩蔵の場合は塩の変わりに砂糖を加えて価格を有利にするといったお世辞にも品質が良いとは言えない商品が出回るケースもあります。
 食品を製造する上で一番大切なのは、安心・安全であること。そして美味しいこと。私としては、その “当たり前”をやるだけだよ」


 そんなポリシーを持つ阿部さんの下には、新しい商品づくりを依頼するクライアントが次々に訪れます。最近ではこれまでの水産加工や乾燥技術を活かし、農産物の加工にもチャレンジしているそう。


 「うちでは、これまでに取り組んだことがない事例であってもクライアントからの依頼は断りません。もちろん失敗して精神的に辛いこともあるんだけど、要望を形にできたときの喜びも大きいですよ。
 これからも新しい製品作りに挑戦していきたいし、加工技術を次の世代に繋いでいきたいね」





 「美味しいものを美味しいまま、美味しいものをより美味しく届ける」こと。「当たり前のことを当たり前のように続ける」こと。私たちの商品は、そんな作り手の信念に支えられています。


◆◇「北海道産 高級干海参」取り扱い店舗◇◆
木ニセコ 杏ダイニング
北海道虻田郡倶知安町字山田183−43
小樽市観光物産プラザ
北海道小樽市色内2丁目1−20
新千歳空港ターミナルビル 国際線エリア