地域資源を掘り起こし、化学変化を引き起こす。 まちづくりワークショップ “Gan-wu Cafe”

COLUMN
2020/03/11

私たち株式会社キットブルー(KIT BLUE)は、岩宇地域4カ町村(泊村、神恵内村、岩内町、共和町)を応援する取り組みの一つとして、Gan-wu Café(ガンウカフェ)の運営をサポートしています。今回は地域事業者主体で2016年9月からスタートした、まちづくりワークショップをご紹介します。



地域資源を掘り起こし、磨き、混ぜ合わせる

ニシンが大量に水揚げされた時代の名残である「袋澗」、真っ赤に染まる夕陽が美しい海岸線、町をあげて盛大に開催される祭り、新鮮な魚介類や農作物など、岩宇には地域資源(食材、歴史や文化、自然など)が数多くあります。




中でも忘れてはならないのが、“人”の存在です。泊村・神恵内村・岩内町・共和町の4カ町村に暮らす皆さんのユニークさ、バイタリティ、エネルギーは“地域資源”の一つと言えるでしょう。



一方で、まだ気づかれていない、密かに眠っている資源も残されています。これらを掘り起こし、磨きながら地域の未来を考えるために、地元メンバーの発案で主体的にスタートしたのがGan-wu Caféです。


地元事業者や地域DMO※、商工会議所、青年会議所、行政を交えたワークショップとして年4回ほど開催。職業や立場、年齢などを超え、仲間を増やしながら「食や観光といった産業の開発」「販路開拓を踏まえた4ヵ町村の地域特性・優位性の再認識」をテーマに組み込み展開してきました。
※Destination Management/Marketing Organizationの略称。観光地域づくりを持続的戦略的に推進し、牽引する専門性の高い組織・機能。


▲これまでに開催されたGann-wu Cafeの一例


また、1年の締めくくりとして年度末には、周辺地域を巻き込んだ「Gan-wu Cafe special」を実施。隣接地域における産業や観光資源、既存観光客の動向などを踏まえ「より大きなエリアとして協力体制づくり」をテーマに、広域フォーラムを展開しています。


地元の“当たり前”を分解し、新たな価値を生み出す


さて、ここでクイズを一つ。


これまでのブログでも、端境期である冬季間のウニ養殖事業『冬うにプロジェクト』について紹介してきましたが…。そもそも、岩宇の海に生息するウニは、なぜ冬になると苦くて身入りが悪くなるのでしょうか?






正解は、餌となる昆布が少なくなる季節であり、産卵のシーズンを過ぎたから。


私たちが食べている「ウニの身」と言われる部分は、生殖巣(精巣・卵巣)。産卵する前まではたくさんの栄養を蓄えて「身入りが良い」状態ですが、旬が過ぎる9月以降は産卵が始まって栄養もなくなるため「身入りが悪く、苦味が強い」状態になります。


つまり、産卵後のウニに餌を潤沢に与えて栄養を満たす環境を整えれば、冬に食べられるウニに成長するというわけです。


地域の皆さんも「冬のウニは美味しいとは言えない」ことはなんとなく知っていても、その理由や冬季間のウニの利活用については知らない方も多いそう。冬うにプロジェクトの意義や今後の展開も含め、地域に認知を広げる必要がありました。






そこで、2019年11月には「神恵内村“冬うに”の今と未来について」をテーマに、ウニに対する素朴な疑問から最新情報までを共有。神恵内村役場産業建設課長補佐の板倉宏至さん、同役場産業建設課水産技術員の塚本春香さん、弊社執行役員の大塚とセールスマネージャーの丸山がスピーカーとして登壇しました。


塚本さんはウニの生態や養殖技術の実際について、科学的な知見と経験から解説。4年間の実証実験の結果とともに、これまでにぶつかってきた壁や、これから解決するべき課題についても紹介していただきました。


▲神恵内村役場の塚本さん(左)と板倉さん


「基本的にウニは何でも食べますが、餌によっては身入りが良くても食味がイマイチだったり、海水温度の違いで順調に成長しなかったり…と養殖には細かな気配りが必要です。国内ではトマトやクローバーなどを与えて養殖をしている地域もありますが、たくさんの量が必要なケースも。必然的に保存の問題も出てきますよね。経費や人手なども含め、バランス良く生産する方法を模索しています」




続いて板倉さんは、冬うにプロジェクトが始まった経緯やJAいわみざわとの交流について紹介。ご自身も岩見沢市に足を運び、ウニの餌となる白菜の運搬を担当する中で「農業者やJA担当者から、プロジェクトに対する期待を受け取った」と言います。
「『冬うに』が地域を結び、人を繋ぐ。ープロジェクト4年目の集大成ー」




丸山マネージャーからは、冬うにの取り扱い実績について報告。2019年は33箇所まで販路が広がり、テレビや新聞にも取り上げられたことが紹介されました。


“まちづくり”を誰がやるのか

最後に弊社の大塚執行役員から、ウニの最新情報を紹介。冬うにプロジェクトの先に見据える「陸上養殖」の構想について語りました。




神恵内村では2018年の秋から、富士通(株)が開発した「Fishtech(フィッシュテック)」というシステムの実証実験を開始しています。FishtechはAIやIoTを活用した養殖管理システムで、養殖管理のデータを蓄積し、誰にでも取り扱いやすい仕組みを整えることでウニの通年出荷を目指します。




「日本の漁獲量はここ30年で3分の1に減っており、海の資源を守りながら持続的な漁業を実践する必要性があります。既存の漁業に加え、陸上養殖で収益力がアップすれば、村の漁業者の所得も上がります。陸上養殖に取り組む大きな理由は、子供たちが『この仕事をしたい!』と思える仕事・産業が必要だからです」


システムが実稼働するのは少し先の未来になりますが、ウニ養殖を地域資源の一つとしてまちづくりが加速することを願って、取り組みを進めていきます。



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ところで、ガンウカフェではテーマに関するディスカッションのほか、それぞれの活動についても随時情報共有しています。各自が持っている技術、ノウハウ、ネットワークなどを活かして課題を解決し、リソース同士を掛け合わせて新しいモノ・コトを生み出すこともあります。



実際にガンウカフェが契機となり、それぞれの地域の食材を掛け合わせた商品も生み出されました。その一つが、共和町の三田牧場・農業グループGrow up・泊村のさかずきテラスインターンシップがタッグを組んで開発した「雪いもアイス」。道の駅や物産展などで期間限定で販売されました。

インターネットを覗けばたくさんの情報があふれ、まちづくりや地域活性化についても事例やアイデアを収集できる時代になりました。ですが、手や足を動かし、現場で起こっていることを見て分析し、地域の目指す未来を具現化していくのは他でもない「まちの人たち」です。


知恵や技術、人手が足りなければ、補い合おう。動き出してみよう。
ガンウカフェを通して化学変化を起こしていこう。
少しずつ、一歩一歩、そんな気運が高まっています。


ガンウカフェは、“まちづくりのプラットフォーム”。地域のリソースが集まる場所。
私たちKIT BLUEも地域に寄り添いながら、まちづくりをお手伝いしていきます。