「冬うに」が地域を結び、人を繋ぐ。ープロジェクト4年目の集大成ー | 株式会社キットブルー

「冬うに」が地域を結び、人を繋ぐ。ープロジェクト4年目の集大成ー

PRODUCT
2019/12/13

新しい岩宇地域の冬の味覚「冬うに」。個体が増えすぎると磯焼けの原因にもなるウニを端境期に向けて美味しく育てるプロジェクトは、今年で4年目に突入しました。今回は取り組みの肝となる“海と畑の地域連携”、そして地場産の魚介類に精通するプロの目線から、2019年産の「冬うに」の魅力をご紹介します。


4年間の集大成

毎年少しずつ育成方法に改良を加え、より美味しいウニに仕上げるため試行錯誤を続けてきた漁師の皆さん。2018年12月のブログには、現場の最前線からプロジェクトにかける想いについてご紹介しました。
(『地域の未来に繋げるウニ漁を。神恵内村漁師たちの冬ウニ作り』)


あれからちょうど1年。今年の「冬うに」は、どのようなあんばいになったのでしょうか。



11月下旬。神恵内村を訪れると、漁師さんたちの手で餌やりと水揚げの準備が着々と進んでいました。岩宇の海は冬になると天候が崩れやすいのが特徴。漁港内は防波堤のおかげで波風が立ちにくくなっているとはいえ、手足の指にじわじわと沁み入る寒さが堪えます。
そんな環境下でもテキパキと作業をこなす漁師の皆さん。船の上では全員の力を合わせ、ウニ籠を一気に引き上げます。機敏な動きは、さすが…の一言です。



ウニは食べた物の色や風味がダイレクトに反映する海産物。旨味や身の大きさを決定づける要素の一つとして、「何を与えるか」が課題でした。2016〜2017年は養殖昆布を冷凍して与え、2018年は冷凍昆布と野菜(キャベツと白菜)を給餌する方法で養殖を実施していました。



これまでの試験経過を踏まえた上で、今年は養殖開始のタイミングから「白菜のみ」で育てる方法へと移行。「苦味がさらに抑えられ、これまでで最高の味に仕上がった」と古宇郡漁協神恵内ウニ養殖部会の佐藤孝次部会長も納得の出来栄えです。


今年は34籠(約13,000個)のウニを養殖。週に1度のタイミングで順次水揚げしていきます。


海と畑、地域をつなげる「冬うに」

実はこのプロジェクトには、あるパートナーの存在が欠かせません。“漁業”が基幹産業の神恵内村で、ウニの餌となる野菜をどこから集めるか。この最重要課題を解く鍵となったのが、海のない町・岩見沢市の農業でした。


空知管内・岩見沢市。札幌市から車で1時間、神恵内村からは160km離れた内陸部にある“農業”の町です。米、小麦、玉ねぎなどが主力の作物で、近年ではヴィンヤード(ワイン用ブドウ畑)やワイナリーも増加。2014年に公開された映画『ぶどうのなみだ』のロケ地として、ご存知の方も多いかもしれません。



「この管内の気候風土は昼夜の寒暖差が大きく、野菜や果樹に糖度(甘み)をのせやすいのが特徴です。中でも秋白菜の栽培・出荷シーズンはより寒暖差が激しく、甘みがぎっしりと蓄えられます。お鍋に入れると、旨味があふれて本当に美味しいんですよ」と、JAいわみざわ営農販売部の高田徹さんは説明します。


同JAでは、90戸の農家の皆さんが年間6,000tの白菜を生産。そのうち規格外品の一部を安価で買い取り、今年は15〜16tほどが神恵内村に供給されました。



実際に「冬うに」用の白菜を見せていただくと、その大きさに驚きます。なんと1玉5kg!色艶が良く、葉は肉厚で、水々しさが一目で分かります。私たちも充分食べられそうなくらい立派な白菜です。

「天候や作業状況など、時々の状況でどうしても収穫が遅れ、玉が大きくなりすぎるケースがあります。JAで市場流通させる規格サイズは通常3kg。それ以上の大きさは規格外になってしまいますが、品質の良さに間違いはありません」と、プロジェクトの担当窓口となって頂いている同部門の大峠敦志さんも自信をのぞかせます。



「これまで廃棄せざるを得なかった生産物を利活用してもらえるのは、農業者にとっても喜ばしいこと。農家の皆さんもプロジェクトに興味・関心を持って協力してくれています。これからも、この地域間連携、生産物の循環を続けていきたいですね」と大峠さん。


秋白菜の出荷は8月中旬〜11月中旬で、「冬うに」の養殖期間ともぴったり重なるタイミング。互いの強みを生かし、弱みを補完し合う。“運命的な”縁で繋がったパートナーです。


地元民のイメージを覆して

「冬うに」は現在、札幌やニセコを中心に販売を行なっていますが、もちろん地元・岩宇地域でもお楽しみいただけます。地域の特産物は地元に愛されてこそ。私たち株式会社キットブルー(KIT BLUE)が、地域商社として大切に考えていることでもあります。


「夏ウニをイメージすると色が薄く感じるかもしれませんが、甘みはしっかりとのっています。他の産地のウニと比べてみても、身の大きさも十分。むしろ、それ以上ですね」

そう太鼓判を押すのは、『竹鮨』の代表・竹内一成さん。岩内町で45年続く寿司屋の2代目です。竹鮨ではベーシックな握りはもちろん、アンコウやニシン、タチの白子など四季折々の握りや一品料理まで、地場産の魚介にこだわったメニューを提供。2017年にはミシュランガイド北海道のビブグルマンとして掲載されました。



▲殻を割り、身から一つ一つ丁寧に不純物を取り除くと…中から淡い黄金色が!

「この時期のウニは“苦いもの”。地元民としては、その印象がとても強いんですよ。ですから『冬うに』を食べて驚きました。冬場のウニは値段が乱高下するのでなかなか手が出せない方もいらっしゃると思いますが、キットブルーの『冬うに』は価格が安定していることもメリットの一つ。料理を提供する私たちにとっても、地場産の魚介を安定的に取り扱えるのは嬉しいことなんです」


▲軍艦(2貫1,000円・税込)、生太巻き(1,400円・税別)、小鉢(850円・税別)



遠く離れた海と畑、生産者を繋ぎ、地域の“もったいない”同士を生かす同プロジェクト。地元住民の意識さえ変える「冬うに」のポテンシャルを、ぜひ一度ご賞味ください。




2019年の「冬うに」(塩水パック)は12月末までの販売予定です。
お買い逃しのないように!
※出荷の時期によって、取り扱いの変動がありますのでご注意ください
(最新の情報はFacebookをご覧下さい)



【塩水パック取扱店】
●神恵内村
・株式会社キットブルー
北海道古宇郡神恵内村大字神恵内村15番16
TEL:0135-76-5555 FAX:0135-76-5560
info@www.kitblue.jp

●岩内町
・ラッキー岩内店
北海道岩内郡岩内町字栄169
https://www.hokuyu-lucky.co.jp/post_shop/post_shop-97/


【冬うにが食べられるお店】
●札幌市
・海鮮丼屋 小熊商店
北海道札幌市中央区南3条東1丁目8 二条市場内(創成川通沿い)
https://oguma-shoten.com/
 
・鮨わたなべ
北海道札幌市中央区南6条西4丁目1 プラザ6.4ビル 4階
http://sushi-watanabe.net/
 
●岩内町
・竹鮨
北海道岩内郡岩内町字大浜58-15
https://iwanai-takezushi.com/

・清寿司 本店
北海道岩内郡岩内町万代14-15
https://m.facebook.com/iwanai.seizushi.honten/
 
●倶知安町
・杏ダイニング
北海道虻田郡倶知安町字山田183-43 木ニセコ1F
https://www.kiniseko.com/ja/dining