ナマコ食の本場で認められた「北海道産 高級干海参」。現地に学ぶナマコの選び方・食べ方とは

COLUMN
2018/12/04


かつての日本では、様々な調理法で食されていた“ナマコ”。残念ながら現代の日本では食べる機会が少なくなっています。しかし、中国料理文化圏の人たちにとっては今でも生活に根付いた食材です。今回は食文化の視点からナマコをご紹介。ナマコ食の本場・香港からレポートします。


高級食材として確立されてきたナマコ食

 前回のブログでは、株式会社キットブルー(KIT BLUE)の「北海道産 高級干海参」製造の裏側をご紹介しました。(「食品を扱う者として、当たり前のことを当たり前にやる。地域ブランドの品質を支える影の立役者」)
 インバウンドの旅行者から好評を博してきた私たちの乾燥ナマコは、漁獲から加工まで手を抜くことなく作り上げた自慢の商品の一つです。





 とは言いつつも現代の日本の食卓にナマコが並ぶことは珍しく、皆さんにとってはなかなかお近づきになれない存在かもしれません。江戸時代の日本では(高級食材ではあるものの)味噌汁、雑煮、和え物のほか、鰹節のように削って食べるなど調理法がたくさん存在していたそうですが、今ならナマコ酢をお酒のアテにつまむくらいでしょうか。


 

 
 ところが国が変われば、ナマコ食は一つのジャンルとして脈々と受け継がれています。香港をはじめ中国、台湾、シンガポールなど中国料理文化圏の方たちの間では、古くから疲労回復や滋養強壮などに役立つ食材として利用されてきました。近年の研究によるとナマコにはコラーゲンやサポニンといった成分が含まれ、アンチエイジングなど美容に対する効能が期待される海産物であることも分かっています。



ナマコが日常にとけ込む街・香港

 そこで私たちは、ナマコ食の実際を掘り下げるため香港へ。10月4~8日にかけて、池田代表取締役をはじめとする3町村の取締役、古宇郡漁協組合長やナマコ部会長ら漁業者が現地の貿易機関や小売り店、飲食店などとナマコに関する情報交換を実施しました。





 また、現地のあらゆる形態の市場をリサーチ。手始めに乾物屋が軒を連ねる「海味街」に足を運んでみると、世界各国から集まったナマコがあちこちにずらり!!アワビやツバメの巣、鹿の角といった薬膳や漢方の素材の一つとして販売されていました。
 日本で馴染みのあるスーパー(中でも高級スーパー)を訪れると、冷凍物や鍋用にスライスされたナマコが。私たちが日常的に食べる食材の隣に“普通に”陳列されています。




 
 香港の各地域には地元民の台所となっている市場が残っていますが、その一つ「九龍城街市」周辺にも乾物店があり、豊富な種類のナマコが並んでいます。軒下には水で戻したナマコも。日本ではまず見ることができない光景です。




 高級食材ではあるけれど、日常の一部として確かに存在するナマコ。現地の皆さんは、ナマコをどのように選び、どのように食すのか。ナマコ食の本場・香港にある「香港そごう コーズウェイベイ店」の物産展に出店したタイミングで、キットブルーの乾燥ナマコを購入してくださった方にお話を伺うことができました。




 「私たちがナマコを食べるのは健康のためです。うちでは家族で1カ月に約600~1000g(約60本)くらいは食べますね。アワビの缶詰のタレやオイスターソースと一緒に煮たり、エビと卵のスープに入れたり…。ナマコ料理って実はたくさんあるんですよ!
 ナマコを選ぶ時に最も気にしているのが“品質”です。イボ立ち、色、水で戻したときにしっかりと戻るかを自分の目で確かめます。健康のために食べているわけですから、ナマコが生息する自然環境も重要ではないでしょうか。そういった観点から、キットブルーの乾燥ナマコの品質はとても良いものだと実感しました」


岩宇のナマコを世界へ。ナマコ食を日本で。


▲漁業者と香港の消費者の交流が実現


 ナマコに傷をつけない漁獲方法、大きさの選別、乾燥加工の技術の高さーー。原材料の品質に加え、商品づくりのこだわりがナマコ食の本場・香港で認められた事実は、私たちの事業にとって大きな自信となりました。
 香港の視察・交流を終えて池田代表取締役は、「岩宇の海の素晴らしさを、あらためて実感しました。そして、私たちの商品づくりの在り方に手応えを感じています。次年度に向け、原材料の安定的な確保とともに販路も広げていきたいです」と意欲を高めます。




 
 アジアの流通のハブとなり経済成長著しく、食の近代化も進む香港。一方で、これまでと変わらない「医食同源」の考え方が色濃く残っている姿も感じられました。滞在期間中、キットブルーの乾燥ナマコを購入された方が家庭でよく作る「ナマコとアワビの中華風煮付け」を披露してくださいましたが、甘じょっぱいソースがしっかりしみ込んだナマコは、柔らかさの中に独特の弾力感が残り、想像していた以上に私たちの口に馴染んだのです。




 もしかするとそれは、日本にも確かに存在してきたナマコ食の文化が、私たちのDNAの一部に刻み込まれているのかもしれない…。ちょっと大げさかもしれませんが、香港の旅はそんな不思議な体験をもたらしてくれました。
 遠くないいつの日か、日本の食卓にもナマコが並ぶ機会が再び増えることを願って、キットブルーでは新たなナマコ食文化づくりにも力を入れていく予定です。


参考文献:赤嶺淳(2010)「ナマコを歩くー現場から考える生物多様性と文化多様性」